2009年11月22日

007・図書館と戦闘職種のアンマッチ

Bookfile aya・002
『別冊/図書館戦争II』
□著者 有川 浩(ありかわ・ひろ)
□アスキー・メディアワークス/2008.8.09 290p/1400円 ISBN978-4-04-86729-9 C0093

 何故いきなり「別冊」しかもIIからか。というと、これは一応、主人公2人の“結婚後”の話でもあり、主要登場人物で主役の向こうを張る柴崎三正と手塚三正のGrowing Up物語でもあるからだ。
 別冊、という名の示す通り、それはエピソードの組み合わせで、一つ一つが短編として完成している、という、実はワタシゴノミの作り。要するに「あらら、本当に結婚しちゃったよ」という2人が、官舎で同居していて(でも同じ基地の敷地内)、ラブラブ&仕事ばりばりの日々が透けて見える、というファン冥利に尽きるお話なのだった。

 別冊Iの方は、お定まりどおり主役たちのその後。ラブな日常をかいま見られるのはファンサービスとして、この別冊IIにも、きちんとそのへんはフォローされている。堂上・夫が妻(郁)に昔話を告白させられる話などは、なかなか楽しめて読める。しかしこの2人は結婚後も期待を外させなくて楽しいので、まぁ善しとするか。
 このシリーズの主な登場人物は、堂上 篤(一等図書正)、笠原 郁(三等図書正)を主役として、堂上の相棒・小牧幹久(一等図書正)と聴覚を失っているその恋人・中澤鞠江。笠原郁の同期生、手塚 光(三等図書正)、柴崎麻子(三等図書正)。さらには全員の上官にあたる玄田竜助(一等図書監)。今回IIについて書いているのは、この巻は「どうなるのかい?」と思っていた、柴崎&手塚のLoveStory?っていうのかそれ、という話だからだ。
 お約束といえるか、柴崎は堂上に惚れていた。手塚は笠原に興味があった。だが2人とも、一方は世慣れしすぎていて、一方は人との付き合いができなくて、上手くいくどころか知られないままに終わる。これが本編の話。結局、2人とも不器用で純情で、そうして友情の方が大切だった、という話だろうと私は思う。
 柴崎にとっては笠原郁がいかに大切な仲間だったか。それがこの巻で語られる。それはもちろん両思いなのだが、一方が結婚して官舎を出てしまえば、いつも一緒にいるというわけにはいかないのは当然。そこへ柴崎(=ものすごい美人という設定)に、ストーカーが現れる。ストーカー慣れするほど対処に長けているとはいえ、本当は男嫌いかというほどに酷い相手にしかめぐり合ってこなかった柴崎。世慣れた対応の裏で、傷つき、その限界を手塚が救う。手塚がどう思っているのかは柴崎側の描写で語られる物語の行間からも明らかだが、手塚もいまひとつ表現系が…。とまぁお約束のままのストーリー展開なのだが、二組のストーカーのうち、一組は、ごく身近に居た、という怖い話になるわけだ。交換殺人、という犯罪があるが、この場合は、交換××…何というのだろう?(ネタバレになるのでここまで)。
 
 しかし私はこの人の作品を面白いと思うし、けっこう読んだのだが、何故か読後感がすきではない。上手いと思うし印象に残る所為で余計にそうなのだろうか? 一度よんだらもうしばらく要らない、と思ってしまうのだ。郁はかわいいし、小牧もいいキャラだ。玄田の相棒など魅力的なキャラも出てくる。でも、アニメがよく出来ていた所為か、アニメの方が面白かった(って物凄く珍しい)。中で、個人的にとても気に入ったのが、この『別冊II』なのである。
 『図書館革命』の方はそんなわけで未読だが、内容のおおよそは別冊を読めばその後の流れが読めるところは、すごいな。
 設定はSF。一見、日常のようで、まったくあり得ない、だがリアリティのある物語。この構築はすごくて、だからこそ人気であり続けられるのだろうと思う。

 手塚と柴崎。2人のゴールは? けっこうハードなアクションシーンとかあって、手塚に惚れます(笑)。柴崎、かわいーしね。ストーカーに追われる追い詰められる心情ってイヤなものですまない。世の中すべてが信じられなくなる。ましてや現在、ネットという魑魅魍魎の世界や手段もある。…とはいえ、頭のキレる2人のこと、対処は万全、のはずなのだが。
 手塚の男っぽさがなかなか良いな〜と思って、読んだ1篇。わりとお勧めなんですが。[綾]


posted by alto2009 at 16:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする